旅行検索は「キーワード」から「AIとの会話」へ。Google AI Modeが変える宿・観光地の探し方

Googleが紹介したAI Modeの旅行計画機能をもとに、旅行者がキーワード検索ではなくAIとの会話で宿や観光地を探す変化と、企業サイト側で整えるべき情報を解説します。

旅行検索は「キーワードを並べる」だけではなくなってきた

Googleは2026年4月17日、夏の旅行を便利にするGoogle機能を公式ブログで紹介しました。その中で注目したいのが、Google検索のAI Modeを使って、旅行者が自分の希望を文章で伝えながら旅行プランを作る体験です。

これまで旅行者は、「地域名+ホテル」「地域名+ペット可」「子連れ 観光」「周辺 レストラン」のように、条件ごとに検索を分けていました。複数のWebサイトを開き、料金、アクセス、設備、口コミ、周辺施設を自分で見比べる必要がありました。

AI Modeでは、この調査が一つの会話の中にまとまり始めています。旅行者は「家族で自然を楽しめる場所に2泊したい。犬も一緒に泊まれて、周辺に子どもが楽しめる場所があるところ」のように、希望を文章で伝えられます。

Google AI Modeでは、希望条件を文章で伝えられる

Googleの説明では、AI ModeでCanvasツールを選び、理想の旅行を説明すると、AI Modeが旅程を作成します。そこにはホテル、航空便、地域の観光スポット、地図上の情報などが含まれるとされています。

大事なのは、AIが単に候補を一度出して終わるのではなく、ユーザーの希望に合わせて内容を調整できる点です。最初の検索語を考え直すのではなく、会話の中で条件を重ねられる体験になっています。

「もう少し料金を抑えたい」「大型犬でも泊まれるところにして」「雨の日でも子どもが楽しめる場所を入れて」「車で移動しやすい宿にして」といった追加条件が、検索行動の一部になっていきます。

「どこに泊まれるか」から「自分たちに合うのはどこか」へ

従来の検索では、「箱根 ペット可 ホテル」「沖縄 貸別荘」「北海道 家族 ホテル」のような検索からWebサイトへ入る流れが一般的でした。AIとの会話では、質問がさらに具体的になります。

たとえば「沖縄で家族4人と犬と一緒に泊まれて、海が近く、BBQもできる一棟貸しの宿を探して」と聞き、さらに「大型犬でも大丈夫か」「近くに犬と行ける観光地はあるか」「小学生の子どもも楽しめるか」「3つ候補を比較して」と続けることができます。

旅行者が知りたいのは、単にペット可かどうかではありません。自分たちの人数、犬の大きさ、子どもの年齢、移動手段、予算、雨の日の過ごし方まで含めて、自分たちに合うかどうかです。

Google Mapsでも、条件を伝えて探す体験が広がっている

Googleは、Google MapsでもAIを活用し、条件を自然な文章で伝えながら場所を探す体験を紹介しています。キャンプ場を探す場合でも、「ハイキングや自然観察を楽しめて、夕日がきれいで、トイレや食事環境も整っているキャンプ場」のように、複数の条件をまとめて伝えられます。

これは「近くのキャンプ場」と検索する体験から、「自分がやりたいことを実現できる場所をAIに探してもらう」体験への変化です。場所探しの入口が、地名や施設名だけではなく、目的や条件に広がっています。

宿泊施設、観光施設、飲食店、地域サービスにとっては、Google Mapsや自社サイトにある情報の具体性が、ユーザーの候補選びに関わりやすくなる可能性があります。

AIは候補を探すだけでなく、比較する役割も担う

会話型検索が広がると、ユーザーは候補を探すだけでなく、比較もAIに頼むようになります。「この3つの宿なら、犬連れに向いているのはどこか」「子どもが楽しめる場所が多いのはどこか」「価格より食事を重視するとどこがおすすめか」といった聞き方です。

これまでユーザー自身が複数のWebサイトを開き、条件を見比べていた作業の一部を、AIが整理するようになります。AIが比較するためには、Web上に比較材料が存在している必要があります。

「ペット可」「家族向け」「アクセス良好」といった短い表現だけでは、具体的な条件比較には足りません。大型犬の可否、頭数制限、食事場所、客室設備、周辺観光、雨の日の過ごし方など、判断に使える情報が必要になります。

企業サイト側で重要になる情報も変わる

宿泊施設のサイトで「ペット可」と書かれていても、旅行者が本当に知りたいことに答えられていない場合があります。大型犬は泊まれるのか、頭数制限はあるのか、犬と一緒に食事できるのか、ドッグランはあるのか、周辺に犬と行ける観光施設はあるのか、といった情報です。

こうした情報がサイト内で整理されていれば、ユーザー自身が判断しやすくなります。さらに、AIが施設の特徴を理解する材料にもなります。情報が画像やPDFだけに閉じていたり、古いお知らせに散らばっていたりすると、ユーザーにもAIにも全体像が伝わりにくくなります。

これは旅行業界だけの話ではありません。飲食店、不動産、介護施設、病院、学校、BtoBサービスでも同じです。ユーザーの質問が具体的になるほど、企業側にも具体的な情報が求められます。

「検索される言葉」だけでなく「聞かれる内容」を考える

これまでのWebサイト運営では、「どんなキーワードで検索されるか」を考えることが重要でした。AIとの会話が増えると、そこに「ユーザーはAIに何を聞くのか」という視点が加わります。

宿泊施設であれば、「犬と子どもを連れて泊まりやすいか」「雨の日でも楽しめるか」「高齢の両親と一緒でも大丈夫か」「周辺で食事まで完結できるか」といった質問です。

こうした質問への答えが企業サイトに存在していなければ、AIにとっても、その企業が条件に合っているかを判断する材料が少なくなります。企業サイトは会社案内だけでなく、ユーザーからの具体的な質問に答えられる情報の蓄積場所として整える必要があります。

AI検索時代のサイト運営で確認したい3つのこと

1つ目は、利用者が実際に聞きそうな質問に答えられているかです。企業側が伝えたい情報だけではなく、利用者が比較するときに確認したい情報を整理します。サービス内容、対象者、料金、利用条件、対応範囲、周辺環境など、判断に必要な情報が十分にあるかを見ます。

2つ目は、自社の特徴が具体的に説明されているかです。「充実したサービス」「安心のサポート」「高品質」といった抽象的な表現だけでは、利用者にもAIにも違いが伝わりにくくなります。誰に、何を、どのような形で提供しているのかを具体的に書きます。

3つ目は、重要な情報がWebサイト内に分散していないかです。重要な条件が画像、PDF、過去のお知らせ、別ページに分かれていると、全体像を把握しにくくなります。関連する情報を整理し、ページ同士をつなげながら、サイト全体で特徴が理解できる状態をつくります。

これからは、AIとの会話の中で選ばれることも意識する

旅行者がAIに「沖縄で犬と泊まれて、海が近くて、家族でゆっくりできる宿を探して」と質問したとします。そこで候補として扱われるには、その施設について、沖縄にある、犬と泊まれる、海が近い、家族利用に向いている、設備がある、といった情報をAIが確認できる必要があります。

これはAIに必ず選ばれる方法があるという話ではありません。検索サービスごとに仕組みは異なり、表示や引用を保証することはできません。ただ、Web上に具体的な判断材料がなければ、ユーザーにもAIにも説明されにくくなるのは確かです。

企業サイトには、検索結果からクリックしてもらうためだけでなく、AIがユーザーの条件と企業の特徴を結びつけるための情報としての役割も広がっています。

この記事の結論

  • Googleが紹介したAI Modeの旅行計画は、検索の使われ方が会話型へ広がっていることを示しています。
  • 旅行者は、ホテル名や地域名を何度も検索するだけでなく、自分の条件に合う旅行をAIに相談する使い方を増やしていく可能性があります。
  • 企業サイト側では、誰に向いているのか、どの条件に対応できるのか、比較するときに何を判断材料にできるのかを具体的に整理することが重要になります。

FAQ

旅行業以外の企業にも関係がありますか?

関係があります。飲食店、不動産、介護施設、病院、学校、BtoBサービスなどでも、ユーザーが条件を伝えて候補を探す行動は広がる可能性があります。

AI検索向けに新しいページを大量に作るべきですか?

急いで量産する必要はありません。まずは既存のトップページ、サービスページ、料金、FAQ、事例、問い合わせ導線に、比較に必要な具体情報があるかを確認してください。

AIに選ばれることは保証できますか?

保証はできません。できることは、ユーザーにもAIにも誤解されにくいように、対象者、対応範囲、条件、実績、FAQなどの公開情報を整理することです。

関連する解説

原典・参考情報

執筆:伊藤 幹高

ステータス:published

AI検索での表示や検索順位の上昇を保証するものではありません。公開前に原典、日付、表現を確認してください。

自社サイトの情報状態を確認する

強み・実績・FAQ・導線の不足を整理し、AI検索時代に伝わるサイトへ整えます。